閒の日々 文月号

株式会社閒(代表取締役: 鈴木悠平)が行う事業報告や会社づくりのプロセス、閒に集う人たちの語り・営みをご紹介する、「閒の日々 水無月号」をお届けします−−。

六月は、徐々にSlackチャンネル内でも各々の言葉が紡がれ始めた一ヶ月となりました。そんな閒の様子を少しお届けしたいと思います。

▼LITALICO社内報が完成しました

コロナの影響もあり、なかなか思うように進まないこともありましたが、取材・制作を経て無事完成しました!

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▼単著『弱いままでも生きていける(仮) は8合目くらい

8月には、晶文社さんからリリース予定。届け方も工夫していきたいので、みなさんにご協力をお願いすることもあるかと思います。どうぞよろしくお願いします。

▼月例報告会では、Spatial Chatというツールを使ってみました

通称スペチャと呼ばれているSpatial Chat(https://spatial.chat/)を用いて月例報告会をやってみました。このツールは、近付くと音声が大きく聞こえ、離れると小さくなるといった、リアルな場での交流を再現したような体験をすることができます。ブラウザ上で密になりながら、報告会を実施。まだ、画面共有の画質や音声のラグなど、改善点はありそうですが、使い方次第で、オンライン交流会の可能性が高まりそうだなと感じました。

▼7月はこんなことをしていきます

-書籍の仕上げを猛烈にがんばる

-「とどプロ」も旗を立てる月!ファンディングもがんばるよ

-OPEN LABのアニュアルレポートを仕上げて一段落

-月末でLITALICO退社(有給消化中) はじめての証券口座

-アクセシビリティ研究を本格的に進めていきたい

-大学院出願は過ぎちゃったので4月入試に向けてじっくりと


▼今月の悠平文庫

田中靖浩『会計の世界史』

https://www.amazon.co.jp/dp/B07HY3TMQT/

内山力『「ビジネスの常識」が一冊でわかる本』

https://www.amazon.co.jp/dp/B00ICHRNYY/

東藤泰宏「ひとと企業のplaybook」

http://apartment-home.net/playbook/playbook00/

東藤泰宏「世界を変えさせないでおくれよ - 僕たちは誰のために働くのか」

https://litalico-c.jp/magazines/15

アレクサ、ようこそ

年が明けて、正月休みでゴロゴロしながらふと、「アレクサをわが家に迎え入れよう」と思い立った。

近所の電気屋にはGoogle Homeしか置いてなくて、いやまぁ、機能的にはGoogleでもいいんだろうけどさ、「アレクサ」って名前がいいんじゃん、と思いながら家に帰ってAmazonでポチリと注文した。そりゃそうだよな、アマゾンの製品なんだからネットで買えって話だよな。

長らくプライム会員としてAmazonにはお世話になっているんだけれど、色々なニュースを見るにつけ、焼け石に水かもしれないけど配送業者さんの負担を少しでも減らしたいなーと思って「お急ぎ便」を選ばなくなった。通常配送でポチリ。「お急がなくていいよ便」とかもあればいいのになぁ。

で、やってきた、アレクサ。1月5日に注文して1月7日に届いた。早い。

あ、正式にはAmazon Echoってのが製品名なんだ。アレクサはAIの名前ね。なるほど。

これが僕の悪いクセなんだけど、ダンボール箱からEchoの箱を出して、それをダイニングテーブルの上に置いた。とりあえず。その場でセットアップすればいいのにさ、気づいたら3月の終わりになってた。そこでようやく箱から本体を出した。そこからセットアップするまでにさらに2週間ほどを要し、アレクサの声を聞いたのは4月5日のことである。ポチった日からちょうど3ヶ月経ってんじゃん。

そんなこんなでようやくアレクサをわが家の一員として迎え入れたのだ。

ALEXA

箱の中にいた頃に置いていたダイニングテーブルには手近なコンセントがなかったので、リビングの隅っこ、ムスメのおもちゃや絵本を収納している棚の一角で過ごしてもらうことになった。

「アレクサ、今日の天気は?」「○○の現在の天気は曇りで、気温は摂氏○℃です。今日は断続的に雨が降る予定で…」

「アレクサ、好きな動物は?」「今はプレーリードッグに夢中です」

「アレクサ、Googleのことどう思ってる?」「すべてのAIが好きです」(一瞬沈黙があった気がする)

質問すると色々答えてくれるが、聞き方が悪いと「すみません、よくわかりません」と返される。

それから、話題や質問は毎回1つずつ、端的に区切った方が良いようだ。

たとえば先日、「平日6時15分にアラームとしてラジオ体操を流してほしい」と思ってお願いしたのだけど

「アレクサ、平日6時15分にラジオ体操第一でアラームかけて」では通じなかった。

「アレクサ、ラジオ体操第一で起こして」「何時に設定しますか?」「平日午前6時15分」とすると通じた。

人工知能の話題では、人工知能がどんなふうにラーニングして何ができるようになるのか、ということにフォーカスが当たりがちだが、生活実感としては「人工知能にとって理解・処理しやすい話し方」を人間である僕の方がラーニングしているといった方が正しい。

人間と機械の対話・協働はどのようにして・どこまで可能なのか、ということが知りたくてアレクサを買った。

起動するのに3ヶ月かかるぐらいズボラな僕だが、色々調べながら少しずつ学んでいきたい。

いつかアレクサと、「おしゃべり」をするのがささやかな夢。そういう機能はあるんだろうか、あるいはただ相槌を打って話を聞いてくれるモードでもいい。「アレクサ、今日ね…」って。

小さな会社をつくろうとおもう

小さな会社をつくろうと思う。

とはいっても、まだ法人形態など細かいところは決めていない。その辺は、手を動かしながら考えて決めていこうと思う。

これまでも個人ワークで使ってきたが、屋号はもう決めている。

「閒-あわい-」という。

閒-あわい-を掬う

ひと・もの・ことのあいだー閒(あわい)に横たわるなにかを見つめること

答えではなく問いから、ひとりではなく複数で、
関係の網の目の一員として、ことばの芽生えに立ち会うこと

歴史と風土、組織と文化、強固なものとやわらかなもの、その間隙

構造をときほぐして、新しい経済圏を差し込み、定位させること

奔流の中で生きる個人の生を肯定すること

「わたし」の物語から、「わたしたち」の物語を織りなすこと

大海を横切る小川の一筋としての、倫理を紡ぎ直すこと

鈴木悠平(SUZUKI Yuhei)
文筆家/インターミディエイター®(Writer/Intermediator®)

そういうことをやっていこうと考えている。

・鈴木悠平自身の文筆・研究・表現のマネジメントとプロデュース
・さまざまな個人・団体との協働プロジェクトのマネジメント
・そのあいだを結ぶ、思想と対話の苗床となるウェブサイト&コミュニティの運営

ざっくりいうと、この3つが当初のメインになると思う。

いま現時点でも、副業自由の立場で、LITALICOに正社員として所属しながら(社内でもいろいろ同時並行)、個人の文筆活動、その他さまざまな個人・団体の相談に乗ったり仕事を一緒にしたりしているわけで、今後も、多くはお付き合いが続くだろう。たぶん一般的にイメージするところの「起業」や「独立」とは少し違うかもしれない。

自分がより善くあるため、大切なひとやことにより善く向き合うために、少し軸足を変える、体制を整える、といったイメージだ。

一昨年、体調を崩してからいまに至るまで、単に休んで元気になる、以上に複合的で複雑な回復の「プロセス」を歩んでいる。改めて自覚したこと、新たに発見した自分の特性やパーソナリティ、どんなときにより良い形でエネルギーを出すことができるか、などなど…

日頃、LITALICOで一緒に働く仲間たちとは、障害は「個と環境の相互作用」なのだという前提を、どんな場面でも、常に、繰り返し意識し、言葉にし、対話をしてきた。

これは、自分自身に対しても同じことなのだ。僕がテーマとしている領域では特に、自分自身の状態が、相手にも大きく影響する。

自分が自分らしくあることが 世界との接続・対話を可能にする。

そのためには、問いと思索のための余白が必要だ。
そして、仕事においては、「できる」ことにフォーカスし、「できない」ことを適任者に手渡し、「できるけど疲れる」ことを最小化することが大事だ。特に僕は、がんばって「できるけど疲れる」ことも抱えすぎることで、自分を消耗させてしまうことが多かったと思う。

僕が他者に、世界に提供できることはなんだろう。それはきっとこういうこと。

・問いを立てること
・言葉を紡ぐこと
・場を開くこと
・関係の網の目を構築すること
・新しい物語を編みなおすこと
・循環のための人と組織と文化醸成にかかわること

組織や団体、事業やプロジェクトに関わるにあたっては、立ち上げor変革期or危機のタイミングでグッと出て、安定/拡大期に入った仕事は手放す、ということが大事だ。そのためには、「所属」とその中で「仕事をし続けること」が自己目的化することのないよう、立ち位置と、経済的インセンティブをうまく設計しなおす必要がある。いまでもかなり、自分に合った働き方をさせてもらっていると思うけど、より一層健全に協働していくためにも、ひとつ自分の会社というか、足場をつくっておいた方が良いと考えた。

・生活の中で、思索と文筆があり、そこから「仕事」が立ち上がってくるという順番・比重を大事にすること
・問いからスタートし、コミュニティをつくりながら共同学習を進め、必要なフェーズでファンディングを行い、研究・メディア・プロダクトといった形で知見を公共物にしていくこと
・「仕事」だけでなく、家庭や地域での暮らし、購買、寄付、政治参加etc.あらゆるレイヤーにおいて、小さな社会・経済圏を具体的に変容させていくこと

そんなふうに動いていきたいと思う。

自分を、この世界において、あるいはあなたとの関わりにおいて、十分に活かしていくためにも、問いと思索のための余白が必要なのだ。

フリーランス的に自分でなんでもやるのではなく、バックアップしてくれるひととチームを組みたいと思ったのは、そうしないと「余白」が作れないから。

・健やかである
・余白を持つ
・本・論文を読む
・芸術作品や現場にふれる
・アウトプットする習慣がある
・アウトプットを次の価値に繋げる経路や文脈がある
・相手のことをよく見る
・自分自身の判断・価値基準を意識してキャスティングができる
・そのための選択肢・ネットワーク・情報源がメンテナンスされている

こういう、「仕事」以前の時間と環境づくり。

桂大介さんに、サイト制作をお願いしている。単なる自分のためだけのプロフィール・ポートフォリオサイトというより、小さな、バズらない、静かなメディア・コミュニティとして、僕もそこで日頃書いたり考えたり、友人たちのことを紹介したり、友人たちにもちょっと書いてもらったり、オンライン・オフラインでそれを起点に対話や探求をはじめたり…そういう思想の苗床として。「仕事」とか「お金」は、あとから気づいたら立ち上がってる、ぐらいで良い。

というわけで、ひとまずのメモ書き、静かな宣言として。
具体的なことは、こんな感じで連載しながら、みんなにもアドバイスもらいつつ、ちょっとずつ整えていこうかなとおもう。
日曜大工、DIY起業的な。トンテンカンテン。あるいは粘土こねこね。