運命を変えたタロットカード

「占いについて」

このテーマがきたときに、どこまでも書けてしまうと思った。そのくらい私の人生と占いは密接だ。

私の名前は姓名判断を基に命名されている(ただし、貴世子の「世」の字は、世界で活躍する人になって欲しいという、父の強い思いから「世」の字が採用されている)。私は、人生のスタートから「占い」がそこにあるのだ。

さて、占い。
私はラジオDJとして今年25周年を迎えるのだが、その始まりとなる1995年。大阪のFM802のDJオーディションを受けて結果を待っているときに、友人から「よく当たる!」というタロット占いを教えてもらった。表参道の路上で500円で占ってくれたその男性から「何かに選ばれて遠くへ行くよ」と言われた。未来を告げる位置にタロット・カードの魔術師(The Magician)が出ていた。天と地を結ぶ意味があるカードなので、電波と声、つまりアナウンサーの人がよく出すカードだと知った。数日後、この占いの結果どおり、私はオーディションの一次審査を通過。その後、二次審査、三次審査を突破して、約500人の応募者の中から合格。東京から大阪に週に1度移動して深夜の生放送を担当するラジオDJとしてデビューした。

頭の中にはあの魔術師のカードが常にあった。
天と地を繋ぐカード。その意味が私にあるのならと、カードを思い出す度に、前に進む勇気になっていた。

それから、ラジオDJとして行き詰まるとその占い師のところに行った。が、いかんせん路上占いなので、必ずその場所にいるとは限らない。タイミング良く会えたときが、占ってもらう時期と思っていた。会えたときは、見てもらい、その度に新しい番組が決まっていった。

その占い師とはなんだか気が合って、占い以外でも路上でコーヒーを飲みながらよく話した。占いをしているときも、よく横で見させてくれて、私は自然にタロット・リーディングのやり方を覚えていった。

そして、最近会えないなと思っていたら、あっという間に数年間、その占い師を見かけることはなくなった。

2011年8月。
東日本大震災後、初めて仙台に行った。翌日から石巻に復興ボランティアで入るというとき、商店街をなんとなく歩いていたら、その占い師が路上に座っていた。思わず「うわあああ!」と声を出してしまうくらい驚いたのだが、占い師も「武村さん、なんでここにいるの??」とびっくりしていた。まさか、東京、表参道の占い師と仙台で再会できるとは思っていなかったが、そういえば仙台出身と言っていた! と思い出した。聞けば震災後は、人の心の役に立てればと地元に戻っていたということだった。この再会をきっかけに、この占い師の近くにいて覚えたタロット・リーディングを誰かの心のために役立てたいと思い、私自身も占いをするようになった。

タロット・リーディングは様々な見方があると思うのだが、私がこの占い師から教わったことは「タロットは心の鏡」だということ。自分でもどうしたらいいかわかってはいるのだけれどという思いを、カードを使って可視化して、自分の気持ちを整理する。そして、最後の一押しの手助けをする。何より、その人の幸せを願って、占う。

ラジオDJとして番組で様々な悩み相談のメールを読んできた経験は、とても役に立っていると思う。人の悩みを聞く経験が多かったことは占いをするときに活かされている。

私は、占った後に、その人の表情が明るくなっている姿を見るとほっとする。

占いに来るということはその時点で「この状況を変えたい!」という行動を起こしているということ。よく私は「もうすでに自分の未来を、自分で良くしようという努力を始めているということだよ」と話している。

私は占いで「これがいい」というようなその人の行動を決定づけることは言わない。そう言うと「占いがこう言ったから」と占いに依存した判断になってしまう。「人生の決定権はあなたにある。最後に決めるのはあなたですよ」と必ず伝える。

占いが告げる未来をどう捉えて、自分の人生に活かすか。
力にしてより良い未来を切り拓くのは、占いではなく自分である。

振り返ると、ラジオDJとしての仕事が次々に決まったのは、チャンスもあったことはもちろんだが、「自分はラジオDJとして生きる」とそれだけを考えて毎日を過ごしていた。そのためだけにまっすぐに進んでいた。そんな中で、本当にこれで大丈夫かな? と不安があったときに、占い師に背中を押してもらっていたことを、私は力にしていた。

「当たるも八卦当たらぬも八卦」

良い結果を現実にするのは、行動にある。
悪い結果をひっくり返すことも、行動にある。

占いは、自分の行動を変えるためのツール。
占いが好きで、占いをする私は、「占い」のことをそう思っている。

そんな私に占って欲しい方は、いつでもどうぞ。

写真:Kiyoko Takemura