夏と原稿

ついこないだ正月が明けたと思ったらもう8月が終わっている。

毎日暑いなぁ暑いなぁと言っているが、朝晩はちょっと涼しい日が出てきたりしていて、おぉようやくこの酷暑から抜け出せるのかとぬか喜びしもするのだが、寝て起きてみたらやっぱり今日も暑いじゃないかとなる。たぶんこれをあと何サイクルかしていくうちに少しずつ過ごしやすくなっていくのだろうと思う。そして、ようやく秋を感じたと思ったらすぐ冬になって年末を迎えるのだろう。

去年や今年だけ特別に暑い、ということではなく、もうこれから当面、毎年、暑さにあえぐことになるのだろう。人間がこれまで温室効果ガスを排出してきた分、しっぺ返しをくらっているに過ぎないのだが、自分たちが困るだけでなく、他の種や、まだ生まれていない未来世代にもツケを払わせることになることに倫理的な責任を感じつつも、さりとて今日を生きている私たちがエアコンなしで生き延びられるかというとそうもいかないし、既に排出され蓄積してしまっている分の影響は、今さらエアコンつけるつけないというちっぽけな努力で帳消しにできるレベルをとうに超えてしまっているのだが、では今日の私たちが個人レベルでも集団レベルでも何もしなくていいのかというわけでもない。ジリジリと追い込まれていく。

もう少しこまめに書き記しておこうと思いながら8月が終わってしまったのだが、去年の夏はもっと弱って鬱々としていたので、その頃の自分と比べれば、忙しく過ごすぐらいの元気があるのは良かったなと思う。

今年に入ってから、担当編集さんについてもらって、本を書いている。正確に言えば、本をつくる、ということに向けて書いている。作品をつくることを、生活の、仕事の中心に置く、それを第一優先に、自分の使える時間とエネルギーの大半を向ける、という状態にシフトすることができた。年末年始には形にして出せる、ないしお知らせできる状態、というのを念頭に置いて、書いていっており、そこから逆算すると、この夏にどれだけ書けるかが重要で、「受験と一緒で、夏が勝負ですね!」なんて編集さんと話していた。

週2,3で出版社の会議室を取ってもらってそこでカンヅメになっている。本は、というか、「作品」づくりは外注できない。当たり前のことだが、書けば書けるし、書かなければ書けないのだ。そうはいっても、毎日均等に同じ量だけ原稿が積み上がっていくわけではなく、書ける日もあれば書けない日もあり、捗る日もあれば捗らない日もある。

だんだんと焦りも出てくるのだが、焦ったとてやることは変わらないし、出来上がったときが世に出るときなので、目算通りにいかない可能性もあるし、さりとて、いつになってもいいやというつもりでいたらいつまでたっても出来上がらないので、9月もやはり、手を動かすのみである。