12 大根干しと、植えそこねた玉ねぎのこと

 沢山というほどでもないのだけれど、数本育った大根を引き、半分は干すことにした。干すと、保存期間が長くなり、栄養が増すらしい。インターネットで干し方を調べ、準備物と手間が少なそうな方法を選んだ。

 軽く洗って、青々と茂った葉を少し残して切り落とす。茎と根の部分を再度入念に洗い、縦半分に切る。その茎の方を少し残して、さらに縦半分に切り目を入れていく。切り終えたら、又になった部分をハンガーに引っ掛けてベランダに干す。単純な作業だ。

 続いて大量に残った葉をざぶざぶと洗い、これはざるに入れて干す。その日は雨が降っていて、湿気の多い日に干すと腐りはしないかと心配だったけれど、結果的に無事だった。5日間干すと、いい感じにシワシワになった。そのままジップロックへ移す。半干しすると、うまみが増して歯ごたえが良くなり、戻さずそのまま使えるらしい。茎根は煮物や炒め物、漬物にできるし、葉はお味噌汁に入れてもおいしいのだという。

 友人にも干した大根をお裾分けしたら、豚肉と一緒に煮込んだ写真を送ってくれた。生大根をあげた友人も、豚汁にした、と同じく写真をくれた。わたしも生大根は鶏手羽と卵といっしょに煮物にしたり、干し大根はそのまま鍋に入れて食べたりした。

 大根の育ち具合に気をよくして、少し遅いけれど、春に向けて玉ねぎも植えようと思い至った。わたしの畑の隣、友人が夏に使っていて今は荒れ放題の地の草を刈る。伸びに伸びたウコンを中心に、草刈りガマで刈っていく。その大きさに怯えていたけれど、意外とすんなり切れてくれた。

 そうして意気揚々と玉ねぎを買いにホームセンターへ出かけたけれど、苗が売っていない。苗の専門店に電話するも、「もう売り切れた」のだと言う。「ない」と言われると欲しくなるのが人心で、市内の市場をまわったけれど、やっぱりなかった。

 12月半ばのことで、暖地ではギリギリ植えられる時期らしいのだけれど、たとえ植えられる期間が長いとしても、先に苗が売れてしまうことがあるということを学んだ。しかし惜しい。実に惜しい。人様の畑に玉ねぎが植わっているのを見ると、「もう少し思い立つのが早かったらなぁ」と悔やんでしまうのだった。

 そんなわけで、意図せずして休耕期がやってきた。この連載をはじめてちょうど一年が経つ。日々の雑事に追われながらの畑しごとで、さほど土や植物について学べなかったけれど、今年こそは一冊でも本が読めたらいい。詳しい人に出会えたならいい。

 すべてが初めてだった一年目が終わり、二巡目がはじまる。