今週のほにゃらら 2022/09/26-10/02

閒(あわい)の住人が、今週観た/聴いた/読んだ/食べたものなどを、住人のコメント付きでいくつか選出してご紹介します。

■預かった絵:小林舞香「昇華」

小林舞香さんの絵画「昇華」の写真

山形を拠点に活動している友人の画家・小林舞香さんの作品「昇華」を、11月の終わりに東京で個展を開くときまで、一時的に我が家でお預かりすることになりました。

ギリシア神話に登場するアルゴスの美貌の王女・ダナエは、黄金の雨に変化したゼウスとの間に英雄ペルセウスをもうけました。上段にゼウス、下段にダナエを描き、その物語のワンシーンを表しています。
二科展への出展作でもあり、大勢の作品の中に展示された自分の絵画を客観視したことでも自分自身の中で思い入れのある作品です。あの頃を思い出すと、私はいろんなことが腑に落ちませんでした。誰かに認められる為に描くということそのものが許せず、それでも評価されなくては何も始まらず、ちぐはぐな感情で出品した作品でした。私はこの作品を永いこと愛しています。私の作品群の中でも特に古い作品で、しばらく非売品にしていたほど私自身がこの作品に執着していました。

作品紹介ページのステートメントより https://maika-k.com/artgallery/art-1239/

舞香さんと最初に直接会ったのは大学卒業直後の10年前ぐらいで、その前に当時今よりもっと牧歌的だったTwitterで繋がったのが最初だったと思います。そこから年月が経ち、彼女は表現方法も活動も広げながら、創作と、それを続けるための環境や事業づくりをしっかりと積み重ねていて、その様子をSNSでなんとなく見ていて、2,3年に一度ときたまタイミングがあってオフで再会する、みたいな感じで、ゆるゆるご縁が続いているお友達です。
ここ数日ちょっと色々あって弱り気味だった自分に、来るべきタイミングでやってきてくれたような「昇華」という作品。お迎えして、この絵を眺めながら過ごした午後の時間は不思議と心がやすらぎました。
ゆうへい

■読んだ本:田尻久子『橙書店にて』

ようやく読み終えた。こんな場所が自分の住むまちにあったなら、毎日が豊かだろう。わたしもいつかこんな場所をつくれたらなあ。田尻さんの文章はいい。読んでいて気持ちが落ち着く。「かそけき」「まなうら」という単語を真似して使いたい。次は『猫はしっぽでしゃべる』を読む。さて、読み終えたらもう10時。寝よう
もえさんより

■観たアニメ:『メイドインアビス 烈日の黄金郷』

9月の半ばにAmazon Primeでシーズン1→劇場版→シーズン2(烈日の黄金郷)と一気観しての今週、最終話を観終えてまだ余韻に浸っています。謎多き大穴「アビス」に挑む冒険家たちの物語です。深層に潜れば潜るほど環境は過酷になり、強大な原生生物たちに対して、人類はあまりにも無力で、「アビスの呪い」と呼ばれる上昇負荷によって引き返すこともできません。深層六層を舞台にするシーズン2では、150年前の冒険者たちと現代を生きる主人公たちが、呪われた成り立ちの「成れ果て村」で邂逅します。善悪や倫理をも越えて、人々を駆動するのは未知への「憧れ」なのでしょう。絶望的な状況のなかで登場人物それぞれが下した決断に胸を打たれます。シナリオ・アニメーション・音楽・声優さんたちの演技、どれも素晴らしく、極上のエンタメでした。久しぶりにとんでもないアニメに出合ってしまった、という感覚です。
ゆうへい

■新しい”行きつけ”:「Osteria Luna」

家の近くにイタリア料理屋ができた。私は随分長い間ひとりで外出することができなかったのだが、家の本当に近くにこのお店ができて、勇気を出してひとりでそのお店に行ってみようと思った。そうするとそこのマスターが本当に感じのいい人で、サービスがとてもよく、帰りに「持っていって〜」とカレーを持たせてくれたこともあった。毎日のように通い、そのたびに常連さんとお話したりワインの試飲をさせていただいたり、心が豊かになる体験をたくさんさせてもらった。マスターはとてもいい人で、暇なときは店の小窓から顔を出して通行人に挨拶する。そんなマスターが大好きで、店に何の用事もないときでも、お店の前を通るときには「今日もいい一日になりますように!」とお互いに言い合うようになった。私の新しい居場所。大切にしていきたい。
さとみさんより