anthropocene(人新世)を生きる私たちの宿題 2019/08/21

設樂剛事務所主宰、世界構想プログラム2019「生命論マーケティング」第1回。完新世から人新世(anthropocene)への地質学的変化(1950s〜)と、人間・機械・自然の3つのアクターの協働が求められる「Post-postmodern」(21C〜)への思想史上の転換が重なる現代に求められる視座について。

思考を変えるときは、time-perspective 時間軸を変えること。30年スパンだと企業の、100年スパンだと産業の、500年スパンだとメディアの盛衰が見えてくる。ここで一気にものさしを伸ばして、1万年スパンで、地球史上の位置付けから現代を考えてみようという初回講義。短期・超短期の時間軸に流されがちな忙しい日常、別のものさしで思考し語る時間・空間を持てる場。

人口増加、グローバリゼーション、テクノロジーの異常発展、核兵器etc.人間活動の爆発的増大による地球環境への影響が、小惑星の衝突や火山の大噴火といった大昔の自然現象に匹敵する影響を与えるようになったのが、(諸説あるが)1950年代。1万年以上続いた「完新世」が終わり、新たな地質年代区分のanthropocene(人新世)では、「地球と人類」の未来をワンセットで考えるフィロソフィーが求められる。

科学と技術で自然を支配しようと試み、神の死を宣言した近代、支配しようとしたはずの技術・自然が人間を破壊しうるというしっぺ返しの経験、科学主義批判と、宗教・スピリチュアリズム等の非合理的なもの復活etc. 多様性と複雑性のポストモダンから、Post-postmodernへ。

もはや「人間中心主義」では立ち行かないのがPost-postmodern。中空構造をもちながら、人間・機械・自然の協働を模索するときがきている。生命倫理・技術倫理・環境倫理の3つの倫理を横断する、「あいだ」の知の担い手(インターミディエイター)が必要。

現代のビジネスも、Post-postmodernを前提に、人間・機械・自然の3つのアクターの調和、協働を目指すものでなければならない。コンセプト(ESG投資やSDGs、寄付経済圏etc.)を打ち出しつつ、それを可能にする制度デザインや法整備を進めること、その両方が必要。これまでのマーケティングパラダイムを踏まえながら「生命論マーケティング」へ。これが次回以降のテーマ。