昨日はとある大学の先生を訪ねる用事があったのだけど、本題の前に先生のゼミにちょこっとだけ顔を出すことになった。
少人数のゼミだったのと、こちらの仕事の分野とも近く、また彼女たちが就活を控えていることもあり、どんなことを考えているのか質問したり、会社や仕事の内容を少し紹介したりした。
そこで先生から「学生のどんなところを見ているのか、どんな学生を採用したいと思っているのか教えてほしい」とのリクエスト。
色々言ったけれど、要約するに「世界と自分はどう関わっていきたいのかという、課題意識やビジョン」と、「自分が変わっていくことに対する勇気、あるいは素直さ」と、その両方が大事ですかね、みたいな話をした。
で、先生的には普段学生に対して感じている印象や心配事に刺さるものがあったらしく、なんだか盛り上がって。
曰く、ここ最近ふれあう学生の中には、「自分らしさ」なるものにとらわれていてなかなか柔軟に自分を変えていくことが難しい子が多いとのことだ。
何か確固たる「自分」というのがあって、それを確立することが大事で、一度決めたならあまり変えない方がいいんだ的な。
ちょっとメディアの責任もあるかもしれない。「オレ流」とか「自分なりに」とか「私らしい生き方」とかそういう言説が、表層的に受容されがちなのかも。
「自分」というのは無から生まれるものではないから、他者との関わり合いや比較からしか見えてこないし、また長い人生で他者と関わり合うなかでダイナミックに変化していくものだと思う。
当然、長い長い線としてみた場合、誰一人同じ人生を送っている人はいないし、あなたという人は替わりの効かないかけがえのない存在であることは大前提として。
しかしそれは「今」だけ切り取って簡単に見えてくるものでもなく、簡単に箇条書きして「定義」づけられるものでもない。「今」に固執しすぎると未来に変わっていく可能性が損なわれることもある。
ましてや21,22歳の大学生だ。飛び込んで働いてみて変わっていくことなんていくらでもあると思っていた方がいい。
あと、意外と他人の方が自分のことよく分かってくれてたりしてね。就職活動でも、実際に働きだしてからからでも、面接官とか上司とか同僚とかお客さんとか、他人からフィードバックをもらってはじめて気づくこともたくさんある。
「自分らしさ」なんてものはいつ定義したってただの「仮説」に過ぎず、また実際の「自分」というものも定義して捉える間もなく絶えずアップデートされていくものだぐらいに思ってた方が楽だと思う。
(新卒に限った話ではないけど)
日本のシューカツシステムに問題がないとは言わないし、僕はその流れに乗ることができずにフラフラしながらどうにか仕事にありついた口だから、あれなんだけど、色んな可能性に目を向ける機会としては、楽しみながらうまく使うと良いのではないかな。