心に留める―2022年6月23日の日記

 「ふれあいにいたら、おとなになれないんだよ」と息子が言った。「ふれあい」とは、息子が所属している支援クラスの名前である。私が「2年生もふれあいがいい?」と聞いたのだ。息子の言葉は、時折私の胸を衝く。少し前にも、交流学級の自分以外の生徒たちのことを「27にんのひとたち」と呼んで、私を驚かせた(交流学級は息子を入れて28人のクラスである)。息子に関しては何かと心配性の私は、そのときも今回も心配になる気持ちを抑えつつ、息子の言葉をただ心に留めた。ふれあいにいたら、おとなになれない。誰かがそう言ったのだろうか。それとも息子なりに感じていることを言葉にしたら、そういう表現になったのだろうか。それ以上の質問に、息子は答えなかった。息子は毎日楽しく学校へ通っているように私には見えるし、クラスのお友だちの名前もよく話に出てくる。だからきっと心配は要らないのだろう。ただ、心に留めておこう。

 今朝は5時にすっきりと目覚めたけれど、なぜか無性に苛立って泣きたくなった。苛立つ気持ちを抱えたままトイレ掃除をし、家じゅうに掃除機をかけて、布団と洗濯物を干す。東側に位置するベランダには、すでに高く昇った太陽から熱い日差しが痛いほど降り注いでいた。息子を学校へと送り出し、仕事をする前にひと眠りした。睡眠は偉大だ。目覚めたら、苛立ちはだいぶ静まっていた。

 それにしても暑い。扇風機から送られてくる風が生ぬるくてやりきれない。今季初のエアコンをつける。延岡は今日、36.1度を記録し、全国ニュースになった。「暑いですね」。どこへ行っても、その言葉で会話がはじまる。夕方に行った美容室でもそうだった。傷んだ毛先をカットしてもらい、根元がすっかり黒くなった髪全体を染めてもらう。「夏はベージュ系の色がいいですよ」と担当の美容師さんが教えてくれた。光に当たると、透け感だか抜け感だかがあって、とにかくいいらしい。こまめに美容室へ来ない私のために、根元を暗めに、毛先を明るめにとグラデーションにしてくれた。鏡台の側に飾ってあったピンクのアナベルと、薄い緑と紫のオレガノの花が可愛かった。私は何度もそちらに目をやっては、じっと見つめていた。

 新しいライティング仕事が動き出した。うれしい。来月になったら「moe's cook」のzineも作りたい。日々のささやかな喜びを、ひとつひとつ確かめて生きたい。