10月は稲刈りの季節だ。わたしの畑がある市民農園のあたり一帯は見わたす限り黄金色で、バインダーを操作する農家さんたちの姿がある。中には手作業で稲を刈り、天日干しにしているところも。金色の野に囲まれて、ようやくわたしの秋冬野菜の仕込みがはじまった。
9月末に新型コロナウイルス感染症にかかり、病みあがりで安静にしていたが、やっと回復してきて土おこしに取りかかる。ほんとうならば9月には終えているはずだった作業なので、時間がない。スコップで土をおこして、石灰と牛ふん、鶏ふんを一気に撒いてクワですき込んでいく。1時間で息があがる。畑ができるのも健康があってこそのものだ。
通常は土おこしをしてから1~2週間は間をおいてから種まきを行うのだが、気がせいて翌日には畝をつくって種をまいた。大根にラディッシュ、秋どりズッキーニに赤大根。わたしの方針は「てげてげ」なので、土づくりも畝づくりも種まきもほどほどで適当だ。そんな状態でも発芽する植物の生命力には感じ入るものがある。
芽が出るのに一週間はかかると思っていたけれど、4日後には萌芽した。芽吹きたてはかわいい。日増しに大きくなりゆくのを見守るのが日々の楽しみになる。おかげで、夏の間は猛暑ですっかり控えてしまっていた散歩を再開した。気候がよくて気持ちいい。日陰は涼しくなったけれど、まだまだ日中の日差しは強い。
ラディッシュがいちばん勢いがよく、すぐに間引きをしなければならなくなったが、ふさふさと葉が茂るのが愛しくてそのままにしていたら、今のところまだ実っていない。さすがにこのままではいけないと大根とともに間引きをして、実家や友人におすそ分けした。秋冬野菜がこうしてすくすく育っている側で、夏の野菜であるオクラはまだ花を咲かせ、実をつけている。来週には立冬を迎えるというのに、一体どうなっているのだろうか。
こうして書いてきた「土に呼ばれて」、1年目の分を小冊子にしようと友人たちと動いている。11月26日に宮崎市の若草通りで開かれる「zine it !」で初お目見えの予定なので、ぜひ買いにきてほしい。「当日は行けないけれど、買うよ」という方も連絡をもらえたらありがたい。