夫と私のよもやま話Vol.5

「ねえ、Apple Watchが欲しいんだけど……」

私の急な大型の出費要求に対して、夫は「この前もお高めの洋服買ったばかりじゃん。今後また大金を払わなければならないような趣味の出費が続いたら、うち破産しちゃうよ。もっと家計のこと考えてほしいな」と若干冷たくあしらった(冷たくあしらったと書いたが、至極当たり前の意見であるし勿論頭の隅に刻み込んである)。「でももちろん私のお財布から出すし……今なら金利0%で1年分割払いできるし……」

 このようなやり取りをする中で、お互いの金銭感覚やお金にまつわる価値観がどんどん洗い出されて、「最終的にさとみんのお財布から出すんだったら文句は言わない。月々に使えるお金(私の財布に入ってくるお金から出す)は〇万円まで」などなど夫婦でお金の使い方について(最初は喧嘩っぽくなっていたが)きちんと対話できるようになった。衝突、対話、仲直り。大切なことだ。二人で貯金・投資をしていきたいねということなども話して、夫は私がそんなに外れた金銭感覚を持っているわけではないということを受け入れてくれた。私は自分用のApplewatchを1年ローンで購入した。

 Applewatchは主にヘルスケアのために購入した。最近のApplewatchは心電図や心拍を取ることができたり、色々と高性能で、アクティビティやワークアウトをどれだけ達成できているかもリング表示を見れば一目瞭然、睡眠時間の記録もしてくれたり(特に私はお昼寝をするので)、とても使用感に満足していた。毎日計測されると運動もしたくなるし、部屋を足踏みで1~2キロ歩いたり、最寄り駅の往復で30分近く散歩したり、そういうことがどんどんできるようになり、主に健康のため、あとは痩身のために購入した私はとても満足感のある買い物ができたと思っている。


 それはそうと、4月3日は結婚記念日であった。春めいた気候になってきて、外出が中々できない持病を持った私も、持病に負けずに(パニック発作が出ても)外に出ていきたいという気持ちになる日々が長く続いており、結婚記念日当日も外出をした。

 市バスに乗って、四条烏丸の大丸京都店(京都人は「だいまるきょうとみせ」と呼ぶことがしばしばある気がする)まで、発作を出しつつお茶を飲んで立ち止まり、自分に「大丈夫、大丈夫」と暗示をかけながら、ゆっくり向かった。

 大丸のデパ地下はコロナ禍ももう収まったかのように人混みがひどく、人酔いするかな?と思ったし若干酔ったが、発作は特に出なかった。元々、結婚記念日は夫が仕事でサービスのリリースというとても大切な用事があるから外食はできないし、家でウーバーイーツか何かでフレンチのオードブルを頼んでシャンパンで乾杯でもしようと言っていたのだが、私が外出できたので、今回はお惣菜を少し奮発しようとデパ地下に訪れたのである。適当にお惣菜を見繕ったら、私がひそかに夫のInstagramを遡って手に入れた情報(ネトストである笑)をもとに、夫は京都の生菓子が好きだというリサーチを済ませていたので、某老舗和菓子店のねりきりを4種類購入。

 そして、サプライズのプレゼントを購入。

 夫はちょうど結婚記念日が大型案件のリリース日で、直前までどたばたしていて、もしかしたら残業発生するかもなぁ、ちゃんと最初の結婚記念日を祝えるのかなぁ(直前は休日出勤もしてたしなぁ)と少しドキドキしていたが、無事適当な時間に退勤してくれて、二人でお祝いをした。

 夫からはサプライズでプリザーブドフラワーをもらい、というかそれの受け取りも私がしたのでサプライズにはなってなかったのだが、とても嬉しく思い、カウンターキッチンのカウンターに飾った。

 夫がシャワーを浴びている間にお惣菜を並べて、引っ越し祝いぶりにシャンパングラスを出し、乾杯した。そして、サプライズのプレゼントを渡した。

 サプライズのプレゼント、それは夫用のApplewatchであった。本当はその後直近の水曜日に振休を取っているのでその日にApple京都に見に行こうかと二人で言っていたのだが、絶対にリリース疲れが出るだろうし、自分のお金で買ったものより、そこまで滅茶苦茶金銭的余裕があるわけではない私がお財布から出したプレゼントとしてだったら大事に使ってくれるかなという気持ち、これからますます健康に気を遣ってほしいなという気持ちエトセトラから、私は夫に一括で(なぜ自分用でなく夫用が一括なんだか、である笑)Applewatchを購入し、そしてそれを渡した。

夫からのリアクションは、なんかとりあえず「笑っちゃうな」という感じのリアクションで、でもつけてみるとすごく機能性が高いことや運動不足のメーターになるということがわかり、夫婦でつけて室内ウォーキングをしたり睡眠の質を確認したり、「同僚にいいですねってリモート会議越しに言われた!」と言って喜んでいたので、きっとよいプレゼントになったのだろうと思う。

結婚して1年経って、私達は相変わらず普段の何気ない瞬間に「大好きよ」と恥ずかしげもなく言ってハグをしたり、夜寝る前にお互いのどういうところが好きか、どんなことに感謝しているかということを伝え合って眠る仲なので、きっと仲のいい夫婦であると思う。

けれど、何があるかは本当にわからないし、いつも一寸先は闇、と思って生活しているので、もし夫や私に何かがあってもいいように、お互いにとっての一日一日を本当に大切に生きていきたいと心から、改めて思うのであった。

最近自分の友人にも話したが、人生がうまくいかない、というデカい主語で話をするとしんどくて、私が思うことは、今日の味噌汁が美味しく食べられた、とか、そういうことに最高の幸せを感じることができれば、きっと大抵のことはなんとかなるんじゃないかなということである。雨風を凌げて、ごはんを美味しく食べられる、それだけでもう十分幸せなのだろうと思うし、それをパートナーとできるということは決して当たり前のことではない、今日という一日にしか起こりえなかったこと、その積み重ねに二人の、そして私の人生があるのだろうなということを、しみじみと思うのであった。

夫にはいつも支えてもらい、つくづく感謝である。そしてそういう私達を支えて下さる人達には、本当に心から感謝である。この場を借りて、ありがとうございます。

次の一年も佳きものになりますように、心から。