夏頃にツマの妊娠も職場等々に公表され、その後日に日にツマの腹が大きくなるにつれ、オットである僕に対しての、ツマから、また周囲からの「育休取るの?」の質問頻度はじわりじわりと上がってくる。
「うーんそうだよねぇ、取れるなら取った方がいいよなぁやっぱり。うーん難しいだろうけど考えてみようかなぁ、取った人はみんな『取って良かった』って言うしなぁ」
こういう煮え切らない返答をしているのは決して「取りたくない」からではない。どっちかっていうとあれだ、「取れるなら取りたいし、取るべきだよなぁ」と思っているからこそ、現実と板挟みになって辛い、みたいなそういうやつです。
いや、僕も今のご時世、「男は仕事、女は家庭」みたいな旧時代的家父長主義が良いなんてさらさら思ってもいないし、「24時間働けますか」みたいなブラック社畜企業戦士になりたいとも思っていないし、どちらかというとリベラルっていうか、男の育児参加とかイクメンとかわざわざ取り上げるでもなく当然夫婦協力してやっていくべきだよねって思っていますけど。
けど、今の仕事の状況と出産のタイミングなどもろもろ具体的な現実として立ち上がった「自分の人生」をベースに考えてみると、これがなかなかどうして難しい。ですよ、ほんとに。
うちの場合、子どもは年末に生まれ予定なのだけど、年末年始はツマの実家にお世話になるので、その後2月ぐらいから夫婦でもともと住んでいる家にツマも赤子も戻ってきて3人で暮らす…みたいなスケジュール感でいる。
育休を取るとしたら、こっちに戻ってきた2-3月の間が一番いいよねぇ、という見通しなのだが、ちょっと今自分が担当している事業部の仕事の状況や自分の役割、年度末の繁忙見通しからすると、とてもじゃないけど自分が2-3月に抜けるのは厳しいなぁというのが正直なところ。
企業に務めていて、20代後半〜30代ぐらいの上にも下にも人がいる、みたいなミドルマネージャーのポジションって、なかなかこう、短期的には業務調整や引き継ぎが難しいところもある。
安定期に入る妊娠5ヶ月頃に公表して、そこから出産まで約半年。とにかく前から固い意思を持っていて、公表直後から半年後目指して会社にも宣言して全力で運用引き継ぎにコミットすればできなくもないだろうけど、僕みたいに、「決めかねている」ステータスの人にとって、いきなり決断して短期決戦で育休移行、というのは相当な綱渡りである。
できる・できないで言えば、「できる」なのは原理原則論としてはわかる。決めの問題というか、権利としては会社も妨げるはずがないので、残された人がざわめこうが負担かぶろうが知ったことがない、と強い意思で育休取れば、そりゃあ取れるにきまっている。
でも…優先順位や可能・不可能で割り切れないことって、ある。
「究極、そりゃ取ろうと強く決意すれば取れなくもないよな。周囲にしわ寄せはいくけど…」
「仕事も今すごく忙しいけどやりがいあるんだよな。でも育児をないがしろにしたいってわけでは決してないんだよ…」
「子どもがどんどん成長していく幼児期の時間は二度と戻ってこない、というのはわかる。でも、誰だって、自分だって同僚だって部下だって、二度と戻ってこない毎日を生きている…」
「いやいや、子どもにとって父親に代わりはいないんだ、仕事の時間やお金とかより優先したほうが良いよ、という意見もわかる。自分の決断次第だよな。いやでもその決断で職場にはどんな影響があってそれをどうマネージするのか…」
的な堂々巡りというか、ダブルバインドというか、とにかく毎日そんなことを考えている。
別に超政治意識高いわけでもなく、まぁでも時代の流れとしても世代感覚としても当然だよね…というぐらいにはリベラル的価値観を前提としてしまっているフツーの中道左派、的な働き盛りの男性って、多分僕以外にもそれなりの数がいて、べき論としても、自分の気持ちとしても、育児になるべく多くの時間を割くべき、割きたいと思っている。思っているからこそ苦しむ。
そういうジレンマは、あるんじゃないかな、と思う。
そうはいっても時計の針は進むし、一寸先は年末だ。
僕が意思決定をしようとしまいと、育休を取ろうと取るまいと、ツマはお腹を痛め、赤子は世に生まれいづるのだ。
今のところ、我が家のオプションとしては、①取るなら2-3月、②取らないなら取らないでいいけど早く帰ってくる、という感じで、現状8割方②で頑張るかな、という感じ。
最近は②に加えての追加オプションとして、「育休は生まれた直後じゃなくて、妻の職場復帰前後の2ヶ月で取るのも良いタイミングだよ」という助言ももらっている(なるほどなぁ)。
いずれにしたって、限られた時間、僕がどう逡巡するかというより、具体的にどのような動きを取ってツマと赤子を支えられるかということだけが重要なので、まぁそろそろ決めんとなぁ、と思っている。