レーモン・クノーの『文体練習』より その1 メモ

山手線の車内、月曜の夜。中程度の混雑度合い。「つかまってなさい」という声。男女が一組。「バルタン星人だ」と女は言う。「宇宙忍者なんだって。知ってた?」男は言う。男はやせ型でやや背が高い。ピーコートにマフラー。女は茶髪のボブヘアー。手にマクドナルドのコーヒーカップ。女が目をつぶる。目を開ける。男が頭を三度当てる。代々木駅で一度外にでる。すぐまた乗り込む。左斜め前方に男。中肉中背の角刈り。グレーのフリースにリュック。口元をモゴモゴさせ、立ったまままどろむ。

新宿駅に着く。向かいのホームで中央線各駅停車を待つ。中年の女がスマートフォンを一生懸命覗きこんでいる。戦闘中。中野止まりの列車に乗ってしまい、途中で降ろされる。