[日記] 壁を越える協働 第50回府中刑務所文化祭 2025年11月3日(月)

2025年11月3日(月)文化の日
気温7℃~17℃ 曇りときどき小雨

毎年1回文化の日に、府中刑務所が「文化祭」という地域に開いたお祭りをやっていて、今年が第50回。ご縁あって、「刑務所アート展」の出張展示ブースを出させてもらうことになった。 

 府中刑務所の文化祭は、毎年1万人以上来るけっこう有名なイベントで、どういうイベントかっていうと、本当にもう、いわゆる文化祭、高校とか大学とかでやってる文化祭みたいな、屋台がいっぱい出てるあれ、それを刑務所でやっている。

受刑者が服役している刑務所のほんとの中の中までは入れないのだけれど、建物の外側の敷地がけっこう広くて、そこを一般開放していて、刑務所の様子や活動を体験できるツアーとかブースもあり、刑務作業でつくられた商品の販売屋台もあり、焼きそばとか焼き鳥とか、お祭屋台定番の食べ物もあればバンド演奏もありって感じ。

今年の5-6月に墨田で開催した「第3回刑務所アート展」に所長と職員さんが見に来てくださったのがきっかけで、今年の文化祭にもどうですか、と声をかけていただいた。

それで、ここ3ヶ月ほど、月1で府中刑務所に通って、同所の「絵画クラブ」のクラブ活動に参加し、文化祭に向けてコラボ作品をつくることにした。

刑務所の中には、外部も講師を招いてスポーツや文化芸術に取り組めるいろんなクラブ活動があって、絵画クラブもその一つ。府中刑務所の絵画クラブは現在10人のメンバーがおり、月に1回、美術の先生に学びながらそれぞれ絵を描いている。

今回は、個人制作ではなく、10人みんなで大きな絵をつくろうということで、府中のシンボルであるケヤキの大木を中心に添えた「平和と共存」をテーマにした風景画を制作。

ただ展示するだけではなく、少しでも刑務所内外の壁を越えるコミュニケーション、コラボレーションを生み出したいという思いから、文化祭当日に、来場者の自由な描き込みを通して変化し「完成」するという形式を提案した。

刑務所主催の、地域に開いた文化祭といっても、服役中の受刑者が文化祭の当日に外に出ててみんなと触れ合えるわけではないので、その意味では、やっぱりそれはどうしても断絶があるわけで、だとしても、直接会えないとしてもせめて、というか、それでもできることは何があるかなということを考えた。

 絵画クラブメンバーがつくった絵画が想像以上にパワフルで、立派な絵になったので、みんな遠慮して全然描き込んでくれなかったらどうしようと少し心配していたのだが、全くの杞憂に終わり、9時から15時まで、終始たくさんの人で賑わうブースになった。子どもたちもたくさんいたので、みんなほんと自由に、ちょっと元の絵が、原型留めないってほどじゃないけども、かなりの描き込みがあって、いいカオスっていうか、元々のもすごいエネルギーがあったんだけど、そこに来場者みんなの本当は思い思いの色がガーッて描き加わって、これは面白い絵になりました。今月の28日また、絵画クラブの時間に訪ねて行くんだけども、その合同作品と、あと彼らが書き溜めた過去作品も展示したので、展示に対する反響、来場者の感想コメントも集めてもっていって、振り返り会をする予定です。今回の企画に限らずだけど、作家がなにかをつくったとして、やっぱりそこにはリアクションとか、観てくれる人がいてくれて、そこで初めて表現になる、 誰かの声が届くっていうのはとても大きい。僕もそう。