閒(あわい)の住人が、今週観た/聴いた/読んだ/食べたものなどを、本人の紹介コメント付きでいくつか選出してご紹介します。
■読んだもの:青木青海子『本が語ること、語らせること』
奈良の古民家をリノベして人文系私設個人図書館「ルチャ・リブロ」を設立した青木ご夫妻の奥様で司書をされてる海青子さんの初エッセイ。特に、一般の人から寄せられた悩みに3冊の本で答えるという独自のレファレンスサービスを収録した「司書席での対話」がいいです。差し出された3冊——小説、マンガ、専門書など様々なジャンルの——が悩みとどう繋がっているかだけでも興味深いし、それらの本が、悩み事の先に広がる世界に気づかせてくれる。その本で悩みを解決できるわけじゃないけど、道を見つける足がかりになるというか。
例えば、Q「働かない夫となぜ暮らしているのか」に対するAnswerがこの3冊。
A-1 守り/守られる関係ー鈴木大介『脳は回復する』
A-2 「働く」の本来に立ち戻ろうー柳田国男『都市と農村』
A-3 自分自身の言葉を見つけるー成田美名子『花よりも花の如く』15巻青木さんの、優しく強い語りが、心にするんと入ってきます。“贈ることは手を放すこと。そして、貸し借りは手放すことと手放さないことのあわいにある。”私がこの本の書評を書くとしたら、この一文をコピーに使いたい。
サエコさんより
■購入した絵:黒木周「pair」
抽象画が好きです。シンプルであればあるほどいいのかもしれない。だって、そこには観る者が考えたり感じたりする余白があるから。なんて言葉にしてみたけれど、理屈なく抽象画が好きなんです。私の父は抽象画(水彩版画)をやる人で、幼い頃から抽象画をたくさん見て育った影響もあるのかもしれません。
地元・宮崎県延岡市のギャラリーでこの絵を見たとき、「あ、好きだな」と感覚的に思いました。何よりも色合いに惹かれたし、同じような形が二つ並んでいて、タイトルも「pair」という率直なもので、一瞬で気に入って、「欲しいな」「自宅の居間に飾りたいな」と思いがめぐりました。うちの居間は和室で、この絵の背景によく似た紺色をしたソファが置いてあります。買ってきてすぐ飾ったけれど、もうピッタリでした。
作者は宮崎県都城市在住で、ベニヤ板の上に布(クロス)を貼り、油性の材料で描く「クロスグラフ」という手法を用いているそうです。絵をよく見ると、布の繊維が縦横に流れる様が見て取れます。温かさと素朴さ、率直さが気に入りました。いつか作者に会ってみたいです。
もえさんより
■俳句鑑賞会で読んだものから2句:西東三鬼と角川春樹
昇降機しづかに雷(らい)の夜(よ)を昇る 西東三鬼
「昇降機」とは戦前の大阪のホテルのエレベーターのことだとか。夏の暗い夜の空と、それを引き裂く雷の色の対比や、「しづかに」昇る昇降機と、静かな夜の空に轟く雷の音の対比が美しい句だと、皆さんが言われていました。それもその通りで、映画のワンシーンを切り取ったような句だなという印象を受けました。でも私がいちばん気に入ったのは、「昇る」という部分。降りるのではなく登ることで、空に近くなっていく。地べたで繰り広げる日常生活とは隔たりのあるような、幻想的な部分がとても素敵だなと感じました。そしてこの句を詠んだ作者の心情はなんだか掴み取れるようで掴み取れなくて、読み手に委ねられているような感じがして、そこも気に入りました。
向日葵や信長の首斬り落とす 角川春樹
私が使っている『ハンディ版 入門歳時記 新版』には、それぞれの季語を使った俳句がいくつか載っているのですが、「向日葵」を引いたときに、いくつかある先人たちの句の中でも、この句が一番目立って見えました。向日葵を見て信長の首に行きついた作者の中に流れるロジックは、正直私には掴めないのだけれど、それでも壮大さを感じるし、華やかさがあり、情熱も感じる、一度読んだら忘れられなくなる句だと思いました。
もえさんより
■つくったもの:コラージュアート
お気に入りのマスキングテープ
お気に入りの雑誌の切り抜き
お気に入りのデコレーションテープ、レース、ビジューシール…
可愛くてお気に入りのものたちを、
自分の好きなように切っては貼って、チョキチョキ、ペタペタ遊んでいたら、こんな作品たちが出来上がりました。
小学生の頃、一番好きな時間は図工の時間だったなぁなんて思いながら、
頭の中から溢れるイメージを作品にして、、、気がついたらハマっていました。
素材はほぼ100均にて購入。
この暑さで中々外出出来ず、鬱々としかけてた時に見つけた、お家の中でも出来る楽しい遊びです^^
sakiさんより