レーモン・クノーの『文体練習』より その2 複式記述

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12月1日の月の初めの夜、20時過ぎの晩の頃、ぼくは東京都内を渋谷駅からぐるりと一周周回して周る山手線の、公共乗合車両電車に乗り込んで乗車した。満員というほどでもないそこそこ中程度の混み具合の人の密度で、後ろの背後から声がした。「つかまってなさい」と呼びかける声かけだった。一組の男女カップルでアベックの2人が、電車の車内の壁側面広告アドバタイゼーションを見て、バルタン星人がスペース宇宙隠密忍者だという話題で話していた。夫の男は体重が平均より軽いやせ型で平均より少し背の高い長身だった。厚手ウールのダブル前で腰丈の外套ピーコートに毛糸で出来た首巻き防寒具マフラーをしていた。妻の女はブラウンの茶髪で丸みを帯びて重さのあるボブヘアーの髪型をしていた。手にはアメリカ発ファーストフードチェーン店マクドナルドのコーヒーカップ容器を持っていた。女はまぶたを下方に下げて目をつぶり、そしてまぶたを上方に上げてまた目を開けた。男は女に頭の前頭部を三度コツンコツンコツンとぶつけて当てた。渋谷駅から二駅の代々木駅で一度車外の外に出て、すぐまた車両に乗り込み乗車した。左斜め前方の男は、太っているとも痩せているともつかない中肉中背で、四角く尖った角刈りの髪型のヘアースタイルであった。灰色グレーのやわらかい起毛仕上げの繊維素材フリースを着て背中で荷物を運ぶリュックを背負っていた。口元をモゴモゴ上下左右に動かし、直立して立ったまま眠そうにまどろんでいた。

新宿駅に着いて電車の車両から降りて下車した。反対側向かいの発着場ホームで千葉県千葉市中央区の千葉駅から、東京都千代田区の御茶ノ水駅を経由して同都三鷹市の三鷹駅までを各駅停車で結ぶ中央・総武緩行線を待った。40代から50代と思われる若くも年老いてもいない中年の女がタッチパネルで操作しインターネットフルブラウジングが可能な多機能携帯電話スマートフォンを一生懸命真面目に覗きこんで見ている。戦闘バトルが継戦中のようだ。新宿から三鷹を結ぶターミナル駅のひとつ中野で止まる列車に乗ってしまい、途中で車外に降ろされてしまった。

文体練習
文体練習 レーモン クノー Raymond Queneau

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